桜花咲くあの日から。
 
俺が観空唯と出会ってから、気が付けば既に一ヶ月が過ぎようとしていた。
 
それは僅か一月余りの短い時間。
 
だが、今までの生活が一変するには充分な時間だった。
 
 
俺はずっと一人だった。
 
誰も俺に寄り付かず、俺も誰にも心を開かない。
 
独りで居るのはとても楽だった。
 
だが、楽しくもなかった。
 
機械作業の様に毎日が、時間だけがただ過ぎていく。
 
寂しいとか孤独だとかいう感傷は何処にも無かった。
 
それが、普通だと思っていた。
 
だって俺にとっては、それが普通の事だったのだから。
 
 
そんな中、俺は出会った。
 
笑顔で俺に声をかけてくれる少女に。
 
俺の事を恐れる様子も微塵も見せず、まるで俺の隣に居るのが当然のような顔でいてくれる。
 
まったくもって不思議だった。
 
いつも人から疎まれるだけだった俺に対して、鈴の音のような笑顔を見せてくれる。
 
零れる様に唯が笑うと、また一つ。
 
この世の中の何も変える事のできない小さな振動が、だけど俺の内奥を確かに揺さぶる透明な音が。
 
俺の耳元にだけ。
 
りん、と鳴る。
 
 
だが、もっと不思議な事には。
 
いつしか俺もその状況にどっぷり浸かっていたのだった。
 
そう、あたかもそれが当たり前であるかのように。
 
隣で笑う少女を、愛しく思っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Stand by Me 〜 Another story 〜
 
 
その6 『チロルに行こう』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「あーいざーわさーん」
 
 
放課後の教室、六時間目から引き続き夢の中に居た俺に声をかけてくる唯。
 
寝ぼけ眼でその顔を見上げる。
 
別に普段不機嫌な顔をしているわけでもないが、この時の唯は妙にニコニコしていた。
 
そりゃ俺だって授業から解放された事は大いに喜ぶべき事だと思っている。
 
しかし、ここまで機嫌を良くするまでの事でもない。
 
 
「どうした? ずいぶんご機嫌じゃないか」
 
「今日はチロルでケーキが半額の日なんですよ♪」
 
「そうか、そりゃおめでとう」
 
 
唯はずいぶんと嬉しそうだが、俺にはまったくもって関係が無い。
 
そもそもケーキが半額だからと言っても、俺は甘い物が苦手だ。
 
 
「あー、何ですかその『俺には関係が無いぜ、ヘッ』って言う顔はー」
 
「どんな顔だそれは……」
 
「相沢さんが今してるような顔です」
 
「そうか? まぁ事実だからしょうがない」
 
「関係無くなんかないですよ。 一緒に行くんですから」
 
「誰が?」
 
「相沢さんが」
 
「誰と?」
 
「私と」
 
「どこに?」
 
「チロルに」
 
「誰が?」
 
「相沢さんが」
 
「誰と?」
 
「私と」
 
「どこに?」
 
「チロルに」
 
「誰が?」
 
「………ひょっとして行きたくないんですかぁ?」
 
 
涙目になる唯。
 
3ループ目突入はどうやら失敗の様だった。
 
ちなみに。
 
『チロル』とはケーキがメインの喫茶店みたいな所だ。
 
オープンカフェって言った方がいいのかな。
 
参考までに言わせてもらうと、客の九割が女。
 
いや、九割五分かもしれない。
 
とにかく、それだけ女性向けの店って事だ。
 
俺みたいな男が迂闊に入ろうものなら、周囲からのあまりにも痛い視線のために失神してしまうかもしれない。
 
どこの誰が歓迎すると言うのだ。
 
女だらけのケーキ大会に、野郎の参戦を。
 
だがここで、もし『行かない』と言ったら。
 
この目の前に居る泣き虫姫であるところの唯は泣いてしまうかも知れない。
 
ここで泣かれるのは困る。
 
泣かれるのは困る。
 
困るんだけど……
 
 
「行きたくない」
 
「ひぅっ」
 
 
言ってしまった。
 
いや、一回言ってみたかったんだ。
 
好奇心旺盛な俺を許せ、唯。
 
とか何とか思っているうちに、じんわりと涙が、その大きな瞳に溜まっていく。
 
観空ダム、決壊寸前。
 
そして決壊寸前の潤んだ眼は、しっかりと俺を見詰めていた。
 
睨んでると表現した方が良いのかもしれないが。
 
 
「私とだから行きたくないんですかぁ?」
 
「あ、いや、そんな事は」
 
「私は……相沢さんと行きたいのにぃ」
 
 
観空ダム、決壊五秒前。
 
あまりの貯水量の少なさにため息を一つ吐き、俺は唯の手を取った。
 
小さくて柔かい手の感触が伝わる。
 
いきなり手を握られた唯は、何が起こったのか判らずにおろおろしていた。
 
 
「え、あの?」
 
「行くんだろ、チロル」
 
「一緒に、行ってくれるんですか?」
 
「コーヒー。 おごりだからな」
 
「いいですよっ。 おごっちゃいますっ」
 
 
さっきまで泣きそうだったくせに、もう笑顔。
 
でも、この笑顔で俺の心は和むんだ。
 
出来れば何時までも見ていたい。
 
だから俺は、多少恥ずかしいのを我慢して、チロルに付き合うことにした。
 
って言うか、行かなきゃ絶対泣いてたし。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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「やっぱり帰る」
 
「だ、ダメですよぅ。 付き合ってくれるって言ったじゃないですかぁ」
 
「人口の99%が女の場所になんて居たくない」
 
「だ、だって今日は店長の気紛れで突発する『ケーキ半額デー』ですから……って、説明してる間に帰ろうとしないで下さいよぅ」
 
 
さり気無くフェードアウトしようとしていた俺の制服の裾を、唯ががっちりと掴んだ。
 
どうやら逃がすつもりは無いらしい。
 
出来れば制服が伸びるから止めて欲しいのだが。
 
そんな事を思いながらしょうがなく振り返ってやると、またもや目に涙を浮かべている唯が居た。
 
喫茶店で。
 
女の娘が涙目で。
 
男が店を出ていこうとしている。
 
これじゃ別れ話をしているカップルじゃないか。
 
しかも、一方的に女を捨てている男。
 
今にも泣きそうな女の娘を店において帰ろうとしている男。
 
………
 
なんだか最悪な配役が脳裏を横切った。
 
例え他人の想像の上でもそんな下衆野郎にはなりたくない。
 
それに、唯を泣かしたくは無い。
 
って事は諦めるしかないのか?
 
 
確認の意味も込めて、再度店内を見回す。
 
ウチの学校の生徒も居たが、それ以上に圧倒的多数を高校生が占めていた。
 
それも女ばかり。
 
嫁不足に喘いでいる過疎の農村に送ってやりたいくらいと思った。
 
特に女性恐怖症という訳ではないが、やはりこんな場所に居るのは息が詰まるのも事実だ。
 
だって明らかにこっち見て笑ってるもんなぁ、あの窓側のボックス席に座ってる神明第二高校の制服着たちょっと可愛いおねーちゃん。
 
どうにかして唯を説得できないものか。
 
授業中ですらマトモに動かした事の無い頭で一生懸命考えてみたが、何を言っても泣きそうになる事は目に見えていた。
 
 
「早く入らないとケーキが無くなっちゃいますよぅ」
 
「判ったよ……はぁ」
 
 
諦めて唯の後について歩く。
 
うっきうきな唯の後ろに。
 
今度は俺の方が涙目になっていたかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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「ご注文はお決まりでしょうか」
 
「チーズケーキとフルーツタルトとシフォンとー、んー、ミルフィーユをっ」
 
「そちらのお客様は」
 
「コーヒー、アイスで」
 
「かしこまりました」
 
 
ぺこっと頭を下げ、これでもかってくらいメイド服のウェイトレスが去っていく。
 
男の客がほとんど来ないこの店の制服をメイドにする意味はあったのだろうか。
 
しかも可愛い系の。
 
まさか店長の趣味か?
 
俺も別にメイド服は嫌いではないがどっちかと言うと巫女さんの方が、いやいや俺は何を。
 
等とくだらない事を考えてる間に、注文の品が全てテーブルに並べられていた。
 
甘いのが苦手な俺にとっては一つでも充分に思える量のケーキが、四つ。
 
そして目の前には幸せそうな顔をした唯がいた。
 
具体的に言うとケーキ四つ分の幸せ。
 
微妙だなそれ。
 
 
「なぁ、その量を一人で食うのか?」
 
「え? 相沢さんも食べたいですか?」
 
「いや、そんな小さい体の何所に入るのかなって」
 
「小さくて悪かったですねっ。 甘い物は入る所が別なんですよぅ」
 
「太るぞ」
 
「う………い、いいですよー。 運動してますからねー」
 
「帰宅部だろお前」
 
「はうっ……って、帰宅部じゃないですよぅ」
 
「ならどうして俺と一緒に帰ってるんだ?」
 
「一週間に一回なんですよぅ、活動が」
 
「って事は運動部じゃないんだろ? 部活」
 
「……か」
 
「か?」
 
「……家庭科クラブです」
 
「ダメじゃん」
 
「け、結構いい運動になるんですからねっ」
 
「どこが?」
 
「お、……お料理を作るのとか」
 
「でも作った料理は結局自分で食うんだろ」
 
「ぅー、相沢さんが意地悪ですよぅ」
 
「なんでだ」
 
 
ため息をつき、アイスコーヒーを口に含む。
 
ファミレスのドリンクバーに置いてるような安コーヒーと違って、この店のは以外と美味しかった。
 
それは豆がどーたらとか淹れ方がこーたらとかの理由もあるだろうが、第一にはこの雰囲気の所為だろう。
 
って言っても、周りを女に囲まれている状況の事じゃなくて。
 
俺の向かいに、唯がいる。
 
半分以上は困ったような泣き顔だけど、その分笑顔が可愛く見える。
 
ただそれだけで、コーヒーの味すらも変わる。
 
まったくもって不思議な調味料だと、俺は唯に気付かれないように心の中で苦笑した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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店を出た俺たちは、依然として取りとめの無い話に花を咲かせながらテクテクと歩いていた。
 
隣では幸せそうな顔をした唯が俺の歩く速度に遅れないように少し早足でついてくる。
 
日の長くなり始めたこの時期ですら、辺りは黄昏に染まり始めていた。
 
 
「相沢さん、公園によって行きませんか?」
 
「公園?」
 
「私と相沢さんが初めて遭った公園です」
 
「めんどい」
 
 
一秒で却下する。
 
 
「う―――――っ」
 
 
威嚇のつもりだろうか、俺に向かって口を尖らせる唯がそこには居た。
 
ちっさい体で、精一杯に俺を威嚇している。
 
はっきり言って恐くもなんとも無かった。
 
これならまだシャンガリアンハムスターにきーきー吠えられてるほうが恐いかもしれない。
 
だが、可愛かった。
 
その感情に押され、ほぼ無意識的に唯の頭を撫でる。
 
手を伸ばせば其処に誰か居ると言うのは、ケンカの時とは違って、とても俺の心を安らがせた。
 
 
「はやっ?」
 
「………」
 
「は、はわわっ、な、何ですか?」
 
「……寄ってくか、公園」
 
「あ、はいっ」
 
 
今度は体全体を使って頷く。
 
両側に結んでいる髪も一緒になって揺れていた。
 
そして、これ以上無いってくらいの笑顔。
 
あまりにも真っ直ぐに向けられた瞳になんとなく照れくさくなって、俺は唯とはあさっての方向を向いた。
 
 
「どうしたんですか?」
 
「何でもない」
 
「そうですか?」
 
「ああ、何でもないぞ」
 
「怪しいですよ?」
 
「そんな事無いぞ」
 
「……何か企んでないですか?」
 
「例えば?」
 
「え、と…私に意地悪しようとか?」
 
「俺がそんな極悪人に見えるか?」
 
「んーん、見えないですよっ」
 
「……ひょっとして、からかったか?」
 
「はいっ、からかっちゃいました」
 
「…………」
 
「は、はわっ! 無言で早足にならないで下さいよぅ」
 
「からかわれるのはあまり好きじゃない」
 
「だ、だってぇ。 相沢さんだってよく私の事からかうじゃないですかぁ」
 
「知らん」
 
「う、嘘は良くないですよぅ」
 
「嘘つきは賢者の始まりだ」
 
「違いますっ。 泥棒ですっ」
 
「お前が?」
 
「だ、誰が泥棒ですかぁ」
 
「ユイ・ミソラ」
 
「機械的に言わないでくださいっ」
 
「意外とわがままだな、お前」
 
「むぅー」
 
 
何だかんだ言いながらも、俺たちの距離は変わらなかった。
 
この言い合いをお互いに楽しんでいる。
 
そんな気がしていた。
 
実際に、俺は楽しかった。
 
俺が言葉をかけ、それに答えてくれる存在がいる。
 
それだけの事がこんなに俺の心を満たすだなんて思わなかった。
 
 
そんなこんなで公園に着く。
 
今ではすっかり桜も散り、代わりに青々とした葉桜が木陰を創っていた。
 
疎らに散る陽光に目を細めながら、初めて出会った日の事をふと思い出す。
 
一ヶ月という期間を経ても、その光景ははっきりと思い出す事ができた。
 
それと同時に、ずいぶん自分が変わったような気がした。
 
あの頃は、殴り合いが日常茶飯事だった。
 
自分からケンカを売るような事はしなかったが、それでも争いの火種は尽きる事は無かった。
 
殴った。
 
飽きるほど殴った。
 
だが、今はそんな事も少なくなっている。
 
完全に無くなった訳じゃないが、一時期に比べれば格段に減っている。
 
そして、俺はその事を嬉しく思っていた。
 
 
「しかし、五月だってのに熱いな」
 
「そうですねぇ。 チロルの中は涼しかったですけど」
 
「涼しいかもしれないが、あそこは御免だ」
 
「いいお店じゃないですか」
 
「店も良い。 コーヒーの味も良い。 だが、客層が俺とは合わないんだ」
 
「むー、相沢さんもじゅーぶんわがままですよぅ」
 
「気のせいだ。 それより、ジュースでも飲むか? 俺のおごりだ」
 
「わ。 相沢さんからお誘いが来るとはどきどきです」
 
「何を寝ぼけた事を。 それより、飲むのか飲まないのか」
 
「んーとですねぇ。 それでは、プリンシェイクでお願いしますっ」
 
「……あったらな」
 
 
苦笑しながら、自販機に向かって歩き出す。
 
後ろからは唯の嬉しそうな鼻歌が聞こえてきた。
 
そんなにプリンシェイクが好きなのか?
 
って言うか、アレはかなり珍しい部類に属するはず。
 
俺の記憶ではこの公園の自販機には入ってなかった気がするが。
 
 
案の定、プリンシェイクは公園備え付けの自販機には入ってなかった。
 
二台ある自販機のうち、どっちにも。
 
諦める選択肢も頭に浮かんだが、ここで諦めた場合、唯は僅かにだが残念そうな顔をするだろう。
 
でも根性でプリンシェイクを捜し出して、それを唯に届けたら―――
 
 
俺の脳裏に唯の笑顔が浮かぶ。
 
五月の陽光の中で満面の笑みを浮かべながら、プリンシェイクを飲んでいる姿。
 
その笑顔を思い浮かべると、自然と胸の内が温かくなるのを感じた。
 
 
「ちっ、しょうがねぇなぁ」
 
 
小さく独り言を残して、別の自販機を探す。
 
普段の俺ならめんどくさいのでそんな事はしなかっただろう。
 
だが、今の俺はめんどくささを超越した感情で動いていた。
 
 
あいつの笑顔が見たい。
 
 
ただその為だけに俺は動いていた。
 
まったく、何時の間にこうなってしまったのやら。
 
とか何とか思いつつも、自分の感情に暖かいモノが溢れ出してくる事を俺は否定できなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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祐一がプリンシェイクを探して彷徨っている間、唯はご機嫌でベンチに座っていた。
 
足をぷらぷらさせ、首を可愛らしく左右に振り、しかも鼻歌まじりであった。
 
 
えへヘー。
 
相沢さんから誘ってもらっちゃいましたー。
 
『ジュースでも飲まないか?』って。
 
しかも相沢さんのおごりで。
 
プリンシェイクは何時でも美味しいけど、相沢さんのおごりだと思うとさらに美味しくなるはずです。
 
ひ、ひょっとしてこれってデートですか?
 
おごって、おごられて、二人っきりで。
 
ひゃー。
 
 
黄昏時のベンチで一人、顔を赤くして足をぱたぱたさせる。
 
多少思考が錯乱気味であったが、とにかく唯は幸せであった。
 
 
そして、幸せであるが故に。
 
唯は、自身に注がれる悪意を持った視線に気付く事は無かった。
 
ベンチから距離にして20メートルほどの距離に佇む、二つの影。
 
 
「おい、あれって確か……」
 
「『黒使無双』の元総長の女だろ? へー、ガキだけど可愛いじゃん」
 
「確か相沢って言ったよな、あの野郎。 俺はあいつに借りがあるんだよ」
 
「ああ、前歯折られたんだってな。 この前も聞いたよそれ」
 
「ちょっと中坊を弄ってただけだぜ? それをあの野郎……」
 
「そんなに憎かったらあの女を犯っちまえばいいだろうが。 どうせ『元』総長なんだ、仕返しに兵隊を動かす権限は無くなった筈だろ?」
 
「………」
 
「中学生のガキにビビる必要も無いし、二人掛かりなら尚更だ」
 
「……やるか」
 
「おう」
 
 
意思は疎通した。
 
人影の無い赤く染まった風景の中。
 
唯に。
 
二つの影が忍び寄る。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
To be continued……