「妹、妹」
「何用だね兄上、騒々しい」
「タウリンってあるだろ」
「ないとは言えぬのう。 うむ、確かにタウリンは此の世に存在しておるが、それがどうかしたのかの?」
「語感だけだとアレ、なんか少女っぽいと思わないか?」
「………」
「ほら、”タウリン”の”リン”の辺りとか特に」
「………」
「平仮名にするとこれまた……」
「………」
「……い、いもうと?」
「………又ぞろ下らぬ事を朗々と吐きおってからに〜〜」

あー、いや、その、あのでスね。
視線で人を殺すスキルってのは最近の公教育カリキュラムのどの辺で教えているんでスかね、文部科学省大臣殿。

「ほ、他にもホラ、ヒ――」
「”ヒアルロン酸(さん)って語感的には北欧に住んでそうだよね”とか申すのであれば、私は兄上の尻を思い切り蹴り上げねばならぬ」
「ぐ――」
「”グルコサ民(みん)って書くと南米の先住民族みたいだよね”とか言うのであれば、私は今日限りで兄妹の縁を切らせてもらう」
「………」
「………」
「ちょっと出かけてくる」
「手にした練炭は置いていけ、兄上」