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【兄妹仁義】
春になれば季節相応に桜が咲き
夏になればそれなりにアスファルトが焼け
秋になれば申し訳程度ながら広葉樹が赤く染まり
冬になれば親の敵のように雪が降る
特産品など見当たらず
名物料理も存在しない
観光名所になるような由緒ある建造物も存在しなければ
他県の人間が羨むような近代的なビルディングも見かけない
そんな面白みのない町の一画で
建売住宅が並ぶ近隣の景観にまったくそぐわない旧態依然としたお屋敷の中で
兄と妹
構成要員たった二名から始まる不可思議な物語が
学校を巻き込み
ご町内を巻き込み
ついでに各国政府をも巻き込みながら
今
ゆっくりと幕を開ける
隣の柿はよく客を喰うらしい。 恐ろしいとは思わんか、妹よ |
【第一章 惜しむらくは 疎むべき過去】 |
第一幕 |
妹の声を耳にせずに起きた日のこと |
第二幕一ノ段 |
それを”箱庭”と呼んだ日のこと |
第二幕二ノ段(過去語り) |
里帰り |
第二幕三ノ段(過去語り) |
門前払い |
第二幕四ノ段(過去語り) |
復讐 |
第二幕五ノ段(過去語り) |
月は出ているか |
第二幕六ノ段(過去語り) |
隣の柿はよく客を喰う |
第二幕七ノ段 |
下閉伊郡 |
*
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【第二章 愛すべきは 平穏な日々】 |
第一幕 |
二月十三日のこと |
第二幕 |
結婚記念日のこと |
第三幕 |
枯れ尾花を見た日のこと |
第四幕 |
タウリンに思う所があった日のこと |
第五幕 |
柿を食べた日のこと |
第六幕 |
将棋をした日のこと |